桜色の恋文

桜舞う坂 風に歌う木々
遠く聞こえる 町のざわめき
幼い足跡 二つ並べて
小さな手を繋ぎ 笑い合う

内緒の抜け道 二人だけの丘
あなたに手を引かれ 見下ろす景色
夕日に頬染め 「ずっと一緒だよ」
小指を絡めて 誓い合う

春の香満ちる 初めての気持ち
いつの日かあなたに 伝えられるかな
差し伸べた手に ひらり舞い落ちた
薄紅の心に そっと口付て

花風に流れて 過ぎ行く日々に
高鳴る鼓動 あなたの笑顔
胸に秘めた想い 一人綴りながら
いつか届けられると ただ 信じていた

巡る季節に 色付く町並み
変わらない想い ギュッと抱き締め
少し先歩く 足跡辿れば
道しるべの様な 大きな手

残り香さえも 愛しいのに何故?
いつまでもあなたに 伝えられなくて
滲んだ文字と 臆病な心
長雨が攫ってく 儚い願いを……

花明かりたゆたう いつもの道を
探して駆ける あなたの笑顔
震える指先 頬を濡らす雫
見つめ続けた背中 もう 届かない

花影に溶けていく 優しい微笑み
行き場失くした 想い溢れる
色褪せた手紙に 涙零れ落ちて
脳裏に咲くあの声 夕焼けの契り

走り出す 愛しい あなたの元へ
あの日の景色 移ろう前に
小指にまだ残る 熱だけをたよりに
桜色の恋文 今 届けよう